Excelなどに入力した住所の情報を、緯度経度に変換してGIS上に表示する方法を解説します。
この解説を読むと顧客住所リストなどあなたが収集した情報を、GISを利用して地図上に表示することが可能になります。

QGISをインストールして地図を表示する方法でQGISのインストールと地図の表示方法について解説しています。
まだの方は先にこちらの記事を参照にQGISのインストールと地図を表示させておきましょう。

アドレスマッチングの概略

アドレスマッチングとは、地図上の位置を示す情報を「住所」から「緯度経度など」に変換する方法です。
住所など人間に伝わりやすい情報を緯度経度などGISで扱いやすい情報に変換します。

詳細は、アドレスマッチングサービスで手持ちの住所情報を変換し、地図上で分析するで説明しています。

アドレスマッチングは、住所の情報をサービス提供者が整備したデータと機械的に照合して、緯度経度等へ変換を行います。
住所の記載方法によっては、変換ミスが起こります。
住所によっては、データベースが整備されていないこともあり、この場合も変換ミスが起こります。変換は丁目単位で行われるため、ピンポイントで変換されるわけではありません。
ただし、同じ丁目単位で整備されている国勢調査のデータと重ね合わせる等の用途では問題なく利用することができます。

今回は、練習として自宅の住所をアドレスマッチングで緯度経度に変換して地図上に表示してみましょう。

アドレスマッチングサービスを利用する

変換する住所が入力された表を作成する

アドレスマッチングの最初の手順は、Excelなどの表計算ソフトで住所が入力されたファイルを作成することです。
ここでは、Excelを使用して説明します。

まず、Excelを起動し、「空白のブック」を作成します。
続いて、A列に「自宅」と入力、B列に自宅の住所を入力しましょう。
変換は、丁目単位で行われるためマンション名などは必要ありません。

入力できたらファイルを保存します。
ここでは、デスクトップに「アドレスマッチング」というフォルダを作成して、その中にファイルを保存することにします。

メニューのファイルから、「名前を付けて保存」を選択します。
保存フォルダへ移動します。

適当なファイル名(自宅住所)等を入力します。

ファイルを保存するときには、注意が必要です。
変換可能なファイル形式で保存する必要があるため、いつものExcelファイルを保存するときとは少し異なります。
「ファイルの種類」という選択メニューから「CSV(コンマ区切り)(*.csv)」を探して選択します。
以下のようにファイル名を入力し、ファイルの種類を選択できたら、「保存」をクリックします。

これで、アドレスマッチングを実施する準備が整いました。

住所を緯度経度に変換する

それでは、早速アドレスマッチングサービスを提供しているサイトへ移動します。
サイトは東京大学空間情報科学研究センターが作成して公開しており、国土交通省国土地理院などのデータを利用して整備されています。
googleなどの検索エンジンで、「アドレスマッチング 東京大学」と検索します。
表示された検索結果の中から「CSV Geocoding Service」というページをクリックします。

クリックすると以下のようなページが表示されます。

このページで先ほどExcelで作成したファイルを取り込むと、緯度経度に変換されたファイルをダウンロードできます。

では早速利用してみましょう。
設定はいろいろありますが、一般的な設定で説明します。
住所を変換して地図に表示する用途であれば、この設定が一番適当です。
すでに整備したデータがあってそれに合わせたいなどの特殊なケース用に他の設定をいじることができると考えておいて大丈夫です。

「対象範囲」欄は「全国街区レベル(経緯度・世界測地系)」を選択します。
通常の環境であれば、最初から選択されている状態になっていると思います。

「住所を含むカラム」欄ではこれから取り込むファイルで住所を入力した列が左から何番目であるかを入力します。
先程Excelで作成したファイルでは、B列に住所が入力していると思います。B列は左から2番目であるので、「2」と入力します。

「入力ファイルの漢字コード」欄は「自動設定」、「出力ファイルの漢字コード」欄は「入力ファイルと同じ」を選択します。
「マッチングオプション」欄は、「x,yを反転」にはチェックを入れません。「部分一致を」は、「探す」を選択します。

「変換したいファイル名」欄で、先ほど作成したファイルを読み込みます。
「ファイルを選択」という文字列をクリックします。

すると、ファイル選択ウインドウが表示されます。
先ほどファイルを保存したところに移動して、作成したファイルを選択し「開く」をクリックします。

もとの画面に戻ります。
「ファイルを選択」という文字列の右側に、あなたが選択したファイル名が表示されているでしょうか。
以下のような状態になっていれば成功です。

ちゃんと表示されていたら、「送信」をクリックします。
すると、名前を付けて保存ウインドウが表示されました。
Excelで作成したファイルと同じ場所に保存しましょう。上書きせずにファイル名は変更します。
今回の例では、デスクトップの「アドレスマッチング」フォルダに移動します。

そして、「ファイル名」欄にExcelで作成したファイルと異なるファイル名を入力します。
ここでは、「自宅住所geo」など先ほど作成したファイルが変換されたものであることがわかるようなファイル名とします。
ファイル名を入力したら、「保存」をクリックします。

これで、住所から変換された緯度経度が追記されたファイルが作成できました。

アドレスマッチング完了後のファイルの中身を確認する

緯度経度が追記されたファイルを作成できたら、GISに取り込む準備が完了しました。
ここでは、取り込む前に保存したファイルの中身を確認してみましょう。
デスクトップの「アドレスマッチング」フォルダに移動し、新たに作成された「自宅住所geo.csv」を開きます。
すると、以下のように先ほど作成した表にいろいろと追記されています。

まず1行目に列タイトルが追記されています。
このうちfX~iLvlは、列ごと追記されています。
それぞれ説明します。

fXは経度、fYは緯度です。

iConfは、地名のダブりのチェック欄です。
「5」と入力されていれば問題ありません。
例えば、駒場4丁目(東京都目黒区と茨城県取手市に存在)のように2カ所に同じ地名がある場合に注意が必要です。
異なる都道府県に同名の地名があるのに都道府県名が入力されていないなど、どちらかを判断する情報が入力されていない場合です。

情報がなく判断できない場合は、自動的に、より北側の緯度経度情報が追記されます。
駒場4丁目の例では、東京都目黒区の地名を想定していたとしても、より北側にある茨城県取手市の地名と判断されます。
このようにダブりが発生していて要チェックな場合に、「3」や「4」が入力されています。
都道府県名から住所を記載していれば問題なく「5」と表示されます。

iLvlは、精度のチェック欄です。
住所階層の精度で、高い精度(街区・地番レベル)で変換できている時は「7」が入力されます。都道府県レベルの精度でしか変換できていない場合は「1」が入力されます。
作成したファイルの住所の記載方法によっては、データベースとの照合がうまくいかず、途中までしか認識されないことが起こります。
例えば、「東京都豊島区南池袋2丁目45−1」(※豊島区役所の住所です)と入力すべきところを「東京都豊島区南地袋2丁目45-1」のように間違えて入力してしまった場合は、東京都豊島区まではデータベースと正確に照合できますが、それ以降は間違えて入力しているためデータベースに該当する情報がありません。
このように途中までしかデータベースと照合できなかった場合に、変換できた階層に応じて1~6までの数字が入力されます。
このような数字が入力されていた場合は、住所の入力に間違いがなかったを確認しましょう。

漢字の間違いなどの入力ミスはありませんか。
また、地域によっては、住所がそもそも大字レベルまでしか決められていないところもあります。
そのような住所の場合は、「5」が最高の精度です。

地番レベルまで住所があり、入力ミスもないのに「7」にならない場合は、その住所がデータベースに含まれていない可能性があります。
新しくできた地名や、最近住所表記が変わった場合等は、まだデータベースに登録されていないかもしれません。
このように、精度が低い変換結果であった地点は、GISに取り込んだ後で、地図上で位置を修正する必要があります。修正する方法は、この後説明いたします。

緯度経度で入力された位置情報をGISで表示する

ファイルをGISに取り込む

まずは、GISに取り込み地図上に表示してみましょう。
QGISを開きます。
「プロジェクト」→「新規作成」を選択します。
「ブラウザ」パネルの「XYZ Tiles」という文字列の左側にある「▼」をクリックします。
「OpenStreetMap」という文字列が表示されるので、文字列上で右クリックをして出てくるメニューから「レイヤをプロジェクトに追加する」を選択します。
「OpenStreetMap」の文字列上でダブルクリックをしても同様の操作ができます。

すると、地図が表示されました。

続いて「レイヤ」→「レイヤの追加」→「CSVテキストレイヤの追加」を選択します。

「データソースマネージャ」というウインドウが表示されます。

ファイル名と書かれている欄の右端にある点が三つ並んでいるところをクリックします。
するとファイルを選択する画面が出ますのでファイルが保存されているデスクトップの「アドレスマッチング」フォルダに移動します。

緯度経度が追記されたファイルを選択します。
今回の例ではファイル名が「自宅住所geo.csv」となっているファイルです。
ファイルを選択したら「開く」をクリックします。

「データソースマネージャ」ウインドウに戻ってきたら、「サンプルデータ」欄に情報が入力されていると思います。
緯度経度が追記されたファイルの一部が表示されているのですが、日本語が文字化けしてる場合があります。
この場合は、先ほどのファイル名欄の下にある「エンコーディング」という選択メニューの右端にある下矢印のところをクリックし、「System」という文字列を探して選択します。
すると「サンプルデータ」欄の表示が変わりちゃんと文字が読めるようになると思います。

続いて「座標参照系」を選択します。
「ジオメトリ定義」という文字列の左にある▶をクリックします。
表示された項目の中から、「ジオメトリのCRS」という選択メニューの右側にある地球(?)の絵をクリックします。

すると、「座標系の選択」というウインドウが表示されます。
上部のフィルター欄に「4612」と入力すると、中央下の「あらかじめ定義されたCRS」(QGISのバージョンによっては、「世界の座標参照系」)という欄に「JGD2000 EPSG:4612」と表示されますので、その文字列を選択して「OK」をクリックしましょう。

このウインドウに戻ってきたら下にある「追加」ボタンをクリックします 。
そして、「閉じる」ボタンをクリックします。すると画面が地図に戻ります。

これで、Excelであなたが入力して住所が、GISに位置情報として取り込まれました。
日本の位置に、丸い点が表示されていると思います。
地図上でマウスのホイールを回すと地図が縮小したり拡大したりしますので、その点に向かって地図を拡大していきましょう。

いかがでしょうか?
あなたがイメージしていた場所に点が落ちていますか?

すぐに微修正をしたいところかもしれませんが、このままではGIS上で編集ができません。
一時的に取り込んだ緯度経度が追記されたファイルの情報を表示しているだけなのです。
なので、GISで扱いやすいファイルに変換して保存します。

取り込んだ情報をGISで扱いやすいファイルに変換して保存するには、レイヤパネルにある取り込んだファイル名(今回の例では「自宅住所geo」)のレイヤーの上で右クリックし、出てきたメニューから「エクスポート」を選択し、さらに「地物の保存」を選択します。

すると、このようなウインドウが表示されます。

「形式」の選択メニューが「GeoPackage」となっているのを確認して、「ファイル名」と書かれた欄の右端にある点が3つ並んだところをクリックします。
名前を付けて保存ウインドウが表示されました。
デスクトップの「アドレスマッチング」フォルダに移動します。
ファイル名欄にファイル名を入力し「保存」を選択します。
ファイル名は先ほど作成したファイルと同じファイル名でも問題ありません。
今回は、最初に作成したファイルと同じ「自宅住所」というファイル名にします。

元のウインドウに戻るのでOKをクリックします。すると地図の画面に戻ります。

先ほどの点の色が少し変わっていると思います。
そして左下にあるレイヤーボックスに1つレイヤーが追加されています。
最初に取り込んだレイヤーはもう不要なので削除してしまいます。
削除するには、削除したいレイヤー名の上で右クリックをして、出てきたメニューから「レイヤの削除」を選びます。

これで、点の位置を修正できる状態になりました。
それでは、この点の位置を少し移動してみましょう。

GISに取り込まれた点の位置を修正する

GISに取り込んだデータは通常は編集が許可されていない状態ですが、「編集モード」に設定するとその間だけ編集できるようになります。
まずは、レイヤパネルにある編集するレイヤー(今回の例では「自宅住所geo」)の上で右クリックし、出てきたメニューの中央辺りにある「編集モード切替」を選択します。

レイヤー名に左側のイラストが鉛筆マークに変化します。
この状態で、メニューの「編集」→中央辺りにある「地物の移動」を選択します。

カーソルが十字に形に変化しますので、十字の中央を位置を移動させたい点に重ねてクリックします。
すると、移動先を設定するモードになります。
十字の中央付近に赤丸が出現しており、カーソルを動かすと一緒についてくるようになったと思います。

この赤丸で移動先を決定します。
移動先の建物に赤丸が重なった状態で、クリックします。

これで、赤丸の位置に点が移動しました。
移動先の点をもう少し移動したい場合は、再度同じ手順で十字の中央を点に重ねてクリックすることで、別の場所に移動することが可能です。

正しい場所に移動できたら、保存しましょう。
今は、まだ「編集モード」であるため、QGISを再起動すると点がまた元の場所に戻ってしまいます。
保存するのは簡単で、再びレイヤパネルにある編集するレイヤー(今回の例では「自宅住所geo」)の上で右クリックし、出てきたメニューの中央辺りにある「編集モード切替」を選択します。

すると、「編集を終了」というウインドウが表示され、変更を保存するか問われます。
問題ないので、「保存」をクリックします。
これで、点の位置が移動先の場所で保存されました。

なお、「編集モード」の切り替えは、メニューの下に並んでいるツールバー内の「鉛筆マーク」をクリックすることでも可能です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回は、練習として1地点だけをアドレスマッチングを実施し、地図上に表示してみました。
設定項目がいろいろあったり、変換後のファイルに見慣れない文字列が追記されていたりして、初めてみる際にはわかりづらいかもしれません。
しかし、一般的な利用をする場合には設定が必要な項目は少なく、見慣れない文字列も数字の意味だけ分かればよいので、数回やれば気にならなくなると思います。

また、地点の数がたくさんあっても手順は同様です。
地点の数だけ行を追加していけば、一回の変換ですべての地点に緯度経度等の位置情報が追記されます。

いろいろな住所をGISに取り込んで、あなただけの地図を作成してみましょう。

使用したデータ

  • OpenStreetMap
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