傷病別の患者数や、外来と入院別の患者数を小地域(町丁字)毎に推計することはできるんでしょうか?
「国勢調査」の結果と、厚生労働省が公表している「患者調査」の結果を使用して推計することが可能です。
推計に必要な調査結果の場所やそれを使用した推計の方法を紹介いたします。
推計した結果は医療施設のエリアマーケティングに活用できます。

患者調査とは

患者調査とは、厚生労働省が全国の病院及び診療所を利用する患者を対象として3年に1回実施している調査で、患者の属性、入院・来院時の状況及び傷病名等が調査結果として取りまとめられています。
調査目的は以下の通りとされています。

患者調査の目的
“病院及び診療所(以下「医療施設」という。)を利用する患者について、その傷病の状況等の実態を明らかにし、医療行政の基礎資料を得る。”

https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/10-20-tyousa_gaiyou.html#01

各回の調査結果は、コチラに掲載されています。
調査結果はとても詳細で、 傷病区分別の総患者数や、外来患者数・入退院者数等が都道府県別、年齢別、男女別等の項目毎にCSVファイル等で公開されています。

最新の調査(平成29年)の結果の掲載ページを一部開いて見たところです。

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最新の調査(平成29年)の結果の掲載ページの一部

見てみるとわかりますが、データの内容が多岐にわたり、さらに推計患者数であったり総患者数であったり、その他いろんな言葉が並んでおりデータの名前だけでは内容を想像するのが難しいです。
ここで一旦、主要な用語の説明をいたします。

(1 )推計患者数
 調査日当日に、病院、一般診療所、歯科診療所で受療した患者の推計数

(2 )推計退院患者数
 調査対象期間中(平成14年9月1日~30日)に病院、一般診療所を退院した患者の推計数

(3 )退院患者平均在院日数
 調査対象期間中(平成14年9月1日~30日)に退院した患者の在院日数の平均である。

(4 )受療率
 推計患者数を人口10万対であらわした数
 受療率(人口10万対)=推計患者数/推計人口×100,000

(5 )総患者数(傷病別推計)
 調査日現在において、継続的に医療を受けている者(調査日には医療施設で受療していない者も含む。)の数を次の算式により推計したものである。
 総患者数=入院患者数+初診外来患者数+再来外来患者数×平均診療間隔×調整係数(6/7)

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/02/yogo.html

よく使用する言葉としては、ある特定の1日に医療施設を利用する事が推計される患者数を「推計患者数」、調査日に受療したかしてないかを問わずその地域の患者の総数を「総患者数」と定義されています。
この患者調査の結果と、国勢調査の結果を利用して小地域の患者数の推計を行います。

利用形態別患者数を推計する

はじめに、入院と外来別の患者数を推計する方法です。推計は、先程の調査結果掲載ページの「下巻」に掲載されている統計表「10推計患者数(患者住所地),入院-外来・施設の種類 × 性・年齢階級 × 都道府県別」を使用します。
この統計表には、男女別、年齢階級別の推計患者数が全都道府県分掲載されています。また、推計患者数は、入院患者数と外来患者数に分けられています。つまり、調査日に入院中の患者数と医療施設を外来で利用した患者数の推計値の結果です。

都道府県によってその推計値は異なっており、さらに、性別や年齢によっても推計値が異なっています。このような特性の違いを推計したい小地域の属性(性別、年齢構成)に当てはめることで、その地域の患者数を推計します。
まず、患者調査の結果からは、該当する都道府県のデータを確認します。そして、その都道府県の性別・年齢階級別の患者数の人口比率を計算します。

■推計したい地域の都道府県=熊本県
0〜4歳男性の推計患者数/熊本県の0〜4歳の男性人口総数
0〜4歳女性の推計患者数/熊本県の0〜4歳の女性人口総数
・・・・・
このように、各属性ごとの推計患者数の人口比率を計算していきます。

続いて、国勢調査の結果を確認します。国勢調査の結果は、小地域ごとの男女別、年齢別人口が公開されています(サイト内リンク)ので、患者数を推計したい小地域の男女別、年齢別人口を確認します。
先程計算した患者数の人口比率を、国勢調査結果の小地域の該当する属性の人口にかけ合わせていきます。
この結果、年齢性別という小地域の特性を踏まえた患者数の推計数が割り出されます。

このようにして推計した1日の推計外来患者数の人口密度を、地図上に示したのが次の図です。

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推計外来患者人口密度

傷病別患者数を推計する

続いてある地域における傷病別の患者数を推計してみます。
上の例では、外来と入院で推計患者数を分類した結果を使用して推計しましたが、患者調査では傷病毎に推計患者数を調査した結果も掲載されています。
傷病は最も細かい分類では、347区分に分類され患者数が調査されています。

今回使用するのは、最初に紹介した調査結果掲載ページの「閲覧(報告書非掲載表)」に掲載されている統計表「117-1推計患者数(患者住所地),性・年齢階級 × 傷病大分類 × 入院-外来・都道府県別(総数)」です。
この統計表では、85区分の傷病ごとの推計患者数が掲載されています。このうち「糖尿病」の区分の患者数を、ある地域の小地域ごとに推計してみます。
まず、先程と同様、該当する都道府県のデータを確認します。
その内、「糖尿病」の区分の推計患者数について、性別、年齢階級別の人口比率を計算します。
この人口比率を同じく、国勢調査の小地域の該当する属性の人口に掛け合わせて行きます。
このようにして「糖尿病」の患者数の人口密度を推計して地図上に示したのが次の図です。

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糖尿病患者人口密度