実勢商圏とは、実際に店舗に来店したお客様がいる範囲のことです。
実勢商圏は、会員登録やアンケートなどで得たお客様の住所を地図上に表示して確認します。
実際にお客様がいる範囲を把握することで、リピーターを増やすための販促を仕掛ける地区を検討したり、新規顧客を獲得するための戦略を立てたりすることが効率的に実施できます。
実勢商圏を確認してみる
実勢商圏とは、実際に来店されたお客様が生活している範囲のことです。
リピーターを増やすためや、新規顧客を増やすための販促戦略に活用されます。
複雑な知識は必要では無いので小規模事業者であってもこのような分析を実施してみましょう。
正確な定義はありませんが、お客様の住所が店舗から近い順番にカウントしていき、お客様全体の50%が含まれる範囲を実勢商圏と呼ぶことが多いです。
会員登録やアンケートなどでお客様の住所情報をお持ちであれば、地図上に表示することで実際にお客様がいる地区を把握することができます。
このように住所の情報を元に地図上に位置表示することをアドレスマッチングと呼びます。
アドレスマッチングサービスで手持ちの住所情報を変換し、地図上で分析するの記事で詳しく紹介していますので是非参照していただければと思います。
「店舗から半径○kmの範囲」は店舗が集客したい範囲です。お客様が実際に来店される範囲はそれと異なっている可能性があります。
「店舗が集客したい範囲」の商圏を分析するだけでなく、実際に来店されたお客様の分布を把握することで、「お客様がどこから来ているのか」を確認でき、「予想よりも集客できている範囲」、逆に「予想よりも集客できていない範囲」、さらにその要因を検討することができます。
下の図では、ある店舗が所有しているお客様の住所情報を地図上に示してみた例です。
店舗の北東側に対して、西側に広くお客様が分布している様子が確認できます。
店舗の東側から北側に向かって幹線道路が通っており、その向こう側からはあまりお客様が来店されていない様子です。
この内、店舗を利用しているお客様が多く生活している実勢商圏を調べてみましょう。
ここでは、店舗から近い順番に全体の50%の顧客住所が含まれる範囲を実勢商圏として把握することとします。
まず、すべての顧客住所について店舗までの距離を計算しました。その距離に応じて地図上の表示を変えてみます。
店舗から近い顧客住所は濃い赤色、遠くなるに連れて薄い色で表示したものが下の図です。
この計算結果をもとに、店舗に近い50%のお客様を含む範囲を抽出します。
一番近い顧客から順番にカウントしていき、全顧客の50%の数になった範囲を示します。この範囲が実勢商圏です。
店舗に近い方から50%の顧客住所を赤色で示し、その顧客住所を青色の線で囲みました。
この店舗の実勢商圏は、この青色の範囲となり多くのお客様がこの範囲から来店されていることになります。
実勢商圏内の店舗北西部には、顧客が少ない範囲があることが確認できます。この方向には、店舗にアクセスしづらい要因があるのかもしれません。
もし、アクセスしづらい要因が無いのであれば、この地区に販促を仕掛ければ新規顧客獲得の可能性があります。
顧客の住所を把握できない場合は、店舗から半径○kmの範囲で分析したり、河川や幹線道路など商圏を分断する要素を踏まえて、実勢商圏を想定することも可能です。
顧客の分布を分析結果に、国勢調査等の統計調査結果を合わせると顧客浸透率を把握することができます。
顧客浸透率とは、小地域ごとに生活しているターゲット層の内どの程度の顧客を獲得できているかの割合、つまりシェアです。
シェアを把握することでより現状に合わせた集客戦略を実施することが可能になります。
顧客浸透率は顧客浸透率を調べる3つの手順。強い商圏と弱い商圏を把握しようの記事で解説していますので是非参照していただければと思います。
使用したデータ
・OpenStreetMap