複数のベクタデータの座標参照系を一気に変換する方法を説明します。
地理座標系で作成されたデータを平面直角座標系に変換するときなどに活用できます。

変換したいファイルがたくさんあるときに便利な方法です。
ファイルが1つの場合は、QGISに取り込んだデータの座標参照系を変換する方法が簡単です。

変換ツールを開く

メニューバーの「プロセッシング」から「ツールボックス」を選択します。

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メニューから「ツールボックス」を選択する

QGISの右側に「プロセッシングツールボックス」パネルが表示されます。

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「プロセッシングツールボックス」パネルが表示される

上部にある検索欄に「投影」と入力すると該当するツールが表示されます。
その中から、ベクタ一般カテゴリーにある「ベクタレイヤを再投影」を選択します。
ダブルクリックするか、右クリックメニューの「実行」を選択するとツールが起動します。

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プロセッシングツールボックスから、「ベクタレイヤを再投影」を選択する

「ベクタレイヤを再投影」ウインドウが表示されます。

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「ベクタレイヤを再投影」ウインドウが表示された

変換の設定を行う

ウインドウ左下の「バッチプロセスで実行」を選択します。

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「バッチプロセスで実行」をクリックする

「バッチ処理」ウインドウが表示されます。
ここで、変換するファイルの選択や、変換後の座標参照系の設定などを行います。

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「バッチ処理」ウインドウが表示された。ここで変換の設定を行う。
ヒント

バッチ処理ウインドウは、プロセッシングツールボックスの「ベクタレイヤを再投影」の右クリックメニューから、直接開くこともできます。

入力レイヤの設定

「入力レイヤ」欄で変換するファイルを選択します。

「入力レイヤ」欄の下にある「オートフィル…」をクリックし、出てくるメニューの中から「ファイル選択」を選択します。

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「入力レイヤ」欄から「ファイル選択」を選択する

すると、ファイルの選択ウインドウが表示されるので、変換したいファイルを選択します。
複数ファイルを選択することができます。
シェープファイルの場合は「.shp」の拡張子のファイルだけを選択しましょう。

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変換したいファイルを選択する。複数ファイルを一気に選択できるが、シェープファイルの場合は、この画像のように「.shp」で終わるファイルだけを選択すること

ファイルを確定すると「バッチ処理」ウインドウに戻り、選択したファイルが「入力レイヤ」欄に反映されています。

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選択したファイルが「入力レイヤ」欄に反映されている。複数ファイルを選択した場合は、自動的に行が増えている
補足

上ではファイルを直接選択する方法を説明しましたが、入力レイヤの選択の方法は他にもあります。
「入力レイヤ」欄で、「ファイル選択」ではなく「ディレクトリを選択」を選択すると、フォルダ単位で指定することができます。
その場合、指定したフォルダ内の全データが、GISと関係ないものも含めて、入力レイヤ欄に表示されるため要注意です。
また、「レイヤから選択」を選択するとQGISに読み込んでいるレイヤを選択できます。

変換後の座標参照系を選択する

「変換先CRS」欄で変換後の座標参照系を選択します。
選択メニューの右側にある「CRSの選択」アイコンをクリックします。

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「CRSの選択」アイコンで、座標参照系の設定ウインドウを表示する

「座標参照系の選択」ウインドウが表示されるので、フィルタ欄に変換後の座標参照系のEPSGコードを入力します。

入力すると中央下の「あらかじめ定義されたCRS」という欄に該当する座標参照系が表示されますので、その文字列を選択して「OK」をクリックします。

EPSGコードの地域と数字の対応について

EPSGコード一覧表にまとめていますので参考にしてください。
平面直角座標系の場合は、データを作成する地域名を「市町村等」欄から探して、該当するEPSGコードを確認できます。

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入力したEPSGコードに該当する座標参照系が表示されるので選択する

「バッチ処理」ウインドウに戻り、一番上の行に選択した座標参照系が反映されます。

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選択した座標参照系が一番上の行の選択メニューに反映される。EPSG6670の座標参照系が選択されている

この状態で「オートフィル」から「フィルダウン」をクリックします。

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フィルダウンを選択すると全ての行に同じ設定が反映される

すると、以下のように一番上の座標参照系が他の行に一気に反映されます。

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選択した座標参照系が全ての行に反映された

変換後のファイルの保存場所を設定する

「再投影したラスタファイル」欄で変換後のファイルの名称と保存先を設定します。なお、”ラスタ”となっていますがただの誤植なので、気にする必要はありません。
「…」アイコンをクリックします。

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「…」アイコンをクリックしファイル保存ウインドウを表示する

ファイル保存ウインドウが表示されるので、ファイルの保存場所、ファイル名、ファイル形式を指定します。

ファイル名については注意が必要です。
この段階では、全ファイルに共通するフレーズを設定します。

例えば「再投影」といった「変換したファイルであることを示すフレーズ」や、「6670」など「変換後のCRSを示すフレーズ」などを入力します。
個々のファイルを識別するフレーズは後ほど設定します。

ファイル形式は、シェープファイルなら「SHP files」、GeoPackageファイルなら「GPKG files」を選択する。

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保存場所、ファイル名とファイルの種類を設定する

保存場所などを決定すると「自動塗りつぶし設定」ウインドウが表示されます。

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「自動塗りつぶし設定」ウインドウが表示される

塗りつぶしという用語がわかりにくいですが、上で入力したファイル名に自動的に文字列をつけるかどうかの設定です。

この設定ウインドウで、ファイル名に数字の連番や変換前のファイル名などのフレーズを付加することができます。

変換前のファイル名を付加するには、「自動塗りつぶしモード」欄で「パラメータの値で塗りつぶす」を選択し、その下の「使用するパラメータ」欄で「入力レイヤ」を選択します。
こうすると、上で設定したフレーズ(”再投影”など)に入力レイヤの名称(=変換前のファイル名)が追記されます。

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「自動塗りつぶし設定」を設定した

選択できたら「OK」をクリックします。
すると、各行にファイル名が自動的に入力されます。

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指定したフレーズに、変換前のファイル名のフレーズが付加されたファイル名が自動的に設定された

以上で、すべての設定が完了です。
「実行」をクリックで変換を実行します。

変換作業が完了すると、指定したフォルダに変換後のファイルが保存されます。

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座標参照系を変換したファイルが一気に出来上がった

なお、「自動塗りつぶし設定」ウインドウで、塗りつぶしモードを「数値で塗りつぶす」とすると、設定したファイル名に1~の連番が付加されます。

上の例だと、「再投影1.gpkg」「再投影2.gpkg」・・・「再投影7.gpkg」という名称で変換後のファイルが作成されます。

使用したデータ

  • OpenStreetMap