農地の区画情報を知ることができるデータを紹介します。
農林水産省が整備してオープンデータとして公開している農地の筆ポリゴンというデータで、農地の位置と形を区画(筆)ごとに整理したデータです。
実際に測量を行って作成したものではなく、農地の区画情報を衛星画像等をもとに筆ごとの形状をデータ化したものです。
衛星画像等から農地の有無を判断したものであるため、画像の撮影時期などによる誤差が生じることがあり、実際に耕地として利用されている土地であっても筆ポリゴンに含まれていない土地が存在する可能性があります。
また、見直しは年1回であるため、必ずしも現況の農地区画の形状や田畑別の地目とは一致していない場合があります。
そのため筆界の特定や土地の権利関係を示すものではなく、大まかな農地の位置情報を確認するための参考情報として提供されています。
データには、農地の区画の位置と形状が筆ごとに整理されています。耕地の種類(田と畑)も区別されています。
マッピング例
今回はこのデータを使用して、熊本県宇城地域の農地の分布状況を確認します。
熊本県は全国屈指の農業県で、近年の調査結果では新規就農者数全国1位、認定農業者数は全国3位、農業産出額全国6位という結果になっています。
その中央部に位置する宇城地域では、平坦地域や中山間地域といった変化に富む立地条件を活かして、メロン、キュウリ、デコポン、ぶどう、鉢物類(洋ラン)等の生産量が県内第1位となっています。
なお、デコポンとは、へたの部分が出っ張った特徴的な形状をしている柑橘類で、不知火類という柑橘類のうち、一定の品質基準を満たしたもののみが使用できる商標です。
まずは、熊本県宇城地域の農地を地図上に表示してみました。
全域で農地が確認できますが、西部の海に突き出ている半島(宇都半島)から中央部にかけて特に多くの農地が分布していることがわかります。 九州山地に含まれる東南部ではほとんど農地が分布していません。
続いて、耕地の種類で表示を分けた地図を作成してみました。
緑色で示されているのが「田」、茶色で示されているのが「畑」です。
西部の宇土半島では、ほとんどの農地が畑であることがわかります。宇土半島の地理はほぼ全域が古い火山性の山地となっており、平坦な土地がほとんどありません。
そのため、柑橘類や洋ラン等を栽培する農地が多く分布しています。
中央部の平坦地域では、水田がとても多く分布しています。畑の分布は水田に比べると多くは見られませんが、トマト、メロンなどの施設野菜等が栽培されています。
九州山地に近づく東部では地形の制限があると考えられ、一部の地域にだけ水田や畑が同程度分布しています。なお、東部で農地が集中している地域は、熊本県中部を流れ有明海に注ぐ緑川という一級河川が流れており、農地が主に分布しているのは、河川周囲の谷底の平坦部となっています。
農地の筆ポリゴンデータは、スマートフォン等で利用できるGISアプリと併用して現地の生育状況との関連付けを行い、作業適期等の管理を効率化に役立てるなどすでに実際の農業分野で利用されています。
さらに、気象データや土壌データ等さまざまなデータと関連付けることで、ICT等の先端技術を活用し省力で高生産の農業を目指す「スマート農業」の一部としてさらに利用されることが期待されています。
調査事項
以下の分類ごとに農地の位置と形状が調査されています。
- 田
- 畑
出典
データ名:「農地の区画情報(筆ポリゴン)」
調査名:-
作成元:農林水産省
更新頻度:1年に一度(筆ポリゴンの区画等に変化があった地域)
主な入手先:農地の区画情報(筆ポリゴン)の提供 農林水産省