男女別の人口の増減を市区町村ごとに知ることができるデータを紹介します。

人口の増減(転入超過数)(市区町村別):オープンデータ紹介では、住民基本台帳の集計結果を使って、市区町村ごとに人口の増減を確認できるデータを紹介しました。

今回紹介するデータも住民基本台帳を集計したものですが、「住民基本台帳人口移動報告」という資料を使用します。

住民基本台帳人口移動報告とは、人口の移動状況を明らかにすることを目的とした資料で、市町村が作成した住民基本台帳に基づき、総務省がデータを取りまとめて作成したものです。

主に都道府県や市区町村を超えて移動した人の人数が、年齢別、男女別に集計されています。
集計期間は、各月の移動数を掲載した月報と、年間(1月1日~12月31日)の移動数をまとめた年報の2通りがあります。

今回は、この資料に含まれるデータを使用して、年間の人口の増減率を男女別に確認します。

住民基本台帳人口移動報告の「年報(詳細集計)」という分類に含まれる「男女別他市区町村からの転入者数,他市区町村への転出者数及び転入超過数-全国,都道府県,市区町村(移動者(外国人含む),日本人移動者)」というデータの紹介になります。

マッピング例

大阪府の市町村ごとの男性の人口増減率

まずは、大阪府内の市町村ごとに「男性の人口増減率」を地図上に表示してみます。
増減率は、1年間の男性の転入超過数を各市町村の総人口で割って計算した数値です。

青系統の色が濃い市町村は減少幅が大きく、赤系統の色が濃い市町村は増加幅が大きくなっています。

大阪市と南隣の堺市に転入超過数が多い市区が広がっています。
都心部への人口集中が進んでいる様子がわかります。

大阪府の市町村ごとの女性の人口増減率

続いて、同じく大阪府内の市町村ごとに、「女性の人口増減率」を示しました。
この図では、1年間の女性の転入超過数を各市町村の総人口で割って計算した「女性の人口増減率」に応じて色を付けました。最初の図と同様、青系統の色が濃い市町村は減少幅が大きく、赤系統の色が濃い市町村は増加幅が大きくなっています。

男性と同様、大阪市と堺市で転入超過数が多い市区が広がっており、都心部へ人口が集中している様子がわかります。
しかし、男性と比較すると、集中の度合いは小さいように感じられます。
増減率が最も高い真っ赤の地域の多さや分布はあまり変わりませんが、それよりもやや増加率が小さいオレンジ色の地域(0.1~0.2%と0.2~0.4%)は、大阪市と堺市の北部や南部の自治体にも広がっています。

これらの自治体では、男性の転入超過数の図よりも赤系統の色が濃い地域が多くなっています。

一方、女性の転入超過数の図では赤系統の色が薄かったのに、男性の図では真っ赤になっている地域が二つありました。
大阪市西成区と堺市堺区です。

大阪市西成区と堺市堺区の男性の人口増減率

この二つの行政区は、男性でのみ人口増減率が0.4%を超えています。
大阪市西成区に至っては、女性の人口増減率はマイナス(-0.16%)となっているのに対し、男性の人口増減率は0.59%となっています。
人口増減率の男女差(男性の人口増減率-女性の人口増減率)を計算すると0.75%となり、大阪府の市区町村全体で2位以下に倍以上差をつけて1位となっています。

大阪市西成区は、大阪市の南西部に位置する行政区で、大阪都心6区である浪速区とは隣接するなど大阪市中心部からの交通アクセスが良好な場所に位置しており、区内の大半は住宅街として利用されています。

大阪のシンボルである通天閣などの観光資源も近くに位置するなど性別は関係なく生活しやすい環境です。
それでは、なぜこんなに人口増減率に男女差が発生しているのでしょうか?

それは、かつて日雇い労働者の町として知られていた「あいりん地区」の存在によります。
日雇い労働の求人者と、仕事を得るための求職者が集まる寄せ場であるこの地区では、日雇い労働の仕事を得るため、多くこの地区に移り住んできました。
日雇い労働を目当てに移り住んだ労働者向けに簡易宿舎が多く立ち並び、形成されたドヤ街があいりん地区のルーツなのです。

そして、日雇い労働を請け負う労働者は、大半が男性の単身者であるという特徴があります。

仕事を求め、多くの男性が移り住む一方で、女性は多くなく周辺地域と同様の傾向であるため、結果的に男性の増加率が高くなっています。
ありりん地区の人口は西成区全体の約6分の1を占めており、西成区全体の人口増減率の傾向にも影響を与えているのです。

なお、日雇い労働を多く提供していたのは建設や港湾での仕事ですが、現代では機械化が進んだため以前より求人数が減っているとのことです。

現在では、交通アクセスが良く、低価格で宿泊できる簡易宿舎が立ち並ぶあいりん地区周辺は、海外からのバックパッカーに人気の町となっています。

また、もう一つ男性の人口増減率が高かった堺市堺区では西部が堺泉臨海工業地帯に属するなど大きな工場が多く存在しており、そこで働くため移り住んだ人が多く、その人たちの性別は男性の割合が高いのではないかと考えられます。

調査事項

市区町村毎に以下の分類ごとの転入数、転出数、転入超過数が調査されています。

  • 総数
  • 男性
  • 女性

出典

データ名:「男女別他市区町村からの転入者数,他市区町村への転出者数及び転入超過数-全国,都道府県,市区町村(移動者(外国人含む),日本人移動者)」
調査名:住民基本台帳人口移動報告
作成元:総務省
更新頻度:毎月~1年に一度
主な入手先:e-stat「統計で見る日本 住民基本台帳人口移動報告」