空き家が放置されることは、主に安全上や景観上の観点から問題視されていますが、社会の高齢化が進んだことなどの理由で全国で増加しています。
最新の調査では、日本全国で住居の約13.6%が空き家となっています。
そのような空き家の数を調査したデータを紹介します。
住宅・土地統計調査の結果として公表されているこのデータは、市区町村ごとに空き家の数が整理されています。
今回は、兵庫県のデータを使用して、市区町ごとの空き家の割合を地図上で確認しみます。
平成30年住宅・土地統計調査の「住宅及び世帯に関する基本集計」という分類に含まれる「居住世帯の有無(8区分)別住宅数及び住宅以外で人が居住する建物数-全国,都道府県,市区町村」というデータの紹介になります。
マッピング例
まずは、兵庫県内の市区町ごとに空き家の割合を地図上に表示してみます。
市区町ごとに、空き家となっている住宅数を総住宅数で割って空き家の割合を計算し、割合に応じて色をつけました。
赤色の濃い地域が、空き家の割合が高い地域です。
山地が広がる北部から北西部に空き家の割合が高い地域が集まっていることが確認できます。
また、神戸市都心部やその周辺にある長田区、兵庫区、中央区といった行政区でも赤色が濃くなっており空き家の割合が高い地域であることが確認できます。
神戸市の中心部やその周辺であるのに、空き家の割合が高くなっているのは意外な感じがします。
そこで、データをもう少し細かく確認してみます。
実は、このデータには住宅の種類ごとに空き家の数が整理されていて、「二次的住宅」、「賃貸用の住宅」、「売却用の住宅」、「その他の住宅」の4分類の空き家を確認することが可能です。
「二次的住宅」
別荘など一時的に利用する目的で建てられている住宅です。普段は人が住んでおらず空き家として集計されています。
「賃貸用の住宅」
賃貸用の住宅のうち、現在住居者がおらず空き家となっている住宅です。新築・中古を問わず集計されています。
「売却用の住宅」
売却用の住宅のうち、現在住居者がおらず空き家となっている住宅です。新築・中古を問わず集計されています。
「その他の住宅」
上のどの分類にも当てはまらない空き家となっている住宅です。入居者が入院などのため長期にわたって不在になっている住宅や、建て替えなどのため取り壊すことになっており現在空き家となっている住宅などの他、空き家の理由が不明の場合などもこの分類に集計されます。地域で問題視されている空き家問題で取り扱われるのは主にこの分類の空き家です。
上の図では、これらの全分類の空き家の割合を計算して表示していました。
以下では、細かい分類の空き家の状況として、「賃貸用の住宅」と「その他の住宅」を確認してみます。
同じく兵庫県内の市区町ごとに、全ての住宅に占める「賃貸用の住宅」の空き家の割合を示しました。
赤色の濃い地域が、空き家の割合が高い地域です。
全分類の空き家数で計算した場合と異なり、山地が広がる北部では空き家の割合が低い地域が集まっていることが確認できます。
一方、神戸市都心部やその周辺では、特に空き家の割合が高い地域が集まっています。初めに示した図で赤色が濃かった長田区、兵庫区、中央区といった行政区は、この図でも濃い赤色となっており空き家の割合が高い地域であることが確認できます。
今度は、全ての住宅に占める「その他の住居」の空き家の割合を示しました。
赤色の濃い地域が、空き家の割合が高い地域です。
この図では、初めに示した図と傾向が似ており、山地が広がる北部から北西部に空き家の割合が高い地域が集まっていることが確認できます。
一方で、神戸市都心部やその周辺にある長田区、兵庫区、中央区といった行政区では、赤色が薄くなっており空き家の割合が低いことが確認できます。
初めに示した図では、神戸市中心部と、兵庫県の北部から北西部に空き家の割合が高い地域が確認できました。
そして、2枚目に示した図より神戸市中心部の空き家は「賃貸用の住宅」によるものが多いこと、3枚目に示した図より兵庫県北部から北西部の空き家は「その他の住宅」によるものが多いことが確認できました。
調査事項
市区町村毎に以下の分類ごとの住宅数が調査されています。
a.総数(=b+e)
b.居住世帯あり(=c+d)
c.同居世帯なし
d.同居世帯あり
e.居住世帯なし(=f+g+l)
f.一時現在者のみ
g.空き家(=h+i+j+k)
h.二次的住宅
i.賃貸用の住宅
j.売却用の住宅
k.その他の住宅
l.建築中
m.住宅以外で人が居住する建物数
※わかりやすいようにa~lの記号を割り当て、その内訳を示しました。
出典
データ名:「居住世帯の有無(8区分)別住宅数及び住宅以外で人が居住する建物数-全国,都道府県,市区町村」
調査名:住宅・土地統計調査
作成元:総務省
更新頻度:5年に一度
主な入手先:e-stat「統計で見る日本 住宅・土地統計調査」