折込チラシやポスティングを実施する際は、ターゲット層にできるだけ的確に届けたいと思いますよね。
チラシの内容をターゲットに響く内容にして作成するだけでなく、チラシを入れる地区の選定もとても重要な意味があります。
チラシを届けたいターゲットがいない地区にチラシをいくら配布しても、期待した効果はありません。
たくさんのターゲットにチラシを届けるために、チラシ枚数を増やすとそれだけ費用も増加します。
GISを使用して、ターゲット層の比率を見える化することで、少ない枚数でターゲット層のもとへチラシを届けることができるようになります。
チラシを配布しようとしている背景
個人で営む八百屋さん。
無農薬の有機野菜を選んで販売しており、遠いところからわざわざこのお店まで野菜を買いに来てくれるお客さんもいるなど、野菜を購入してくれたお客さんからは好評です。
ただし、悩みがあり新規のお客さんがなかなか増えません。宣伝も兼ねて移動販売も実施してみているが、なかなか売上増加には結びついていません。
新規顧客を開拓するため、他にも宣伝活動が必要だとは考えているが、基本的に一人で仕入先の開拓、野菜の購入、販売、移動販売もしており営業活動にかけれる時間があまりない状況です。
まずは折込チラシを入れてお店のことを知ってもらうことにしました。
折込チラシは、できるだけターゲット層へ効率よく届けたい。
既存顧客の層は、50〜60代女性が多く、この傾向は以前から変わらないので、この層がチラシのターゲット層だけ考えています。
今回は、GISを使用してこのターゲット層に効率よくチラシを届ける方法を考えることにしました
配布エリアを抽出する視点
折込エリアなどの販促を実施するエリアを抽出する視点は2つあります。
1つがターゲット層の量が多いエリア、2つめがターゲット層の比率が多いエリアです。
ターゲット層の数が多いエリア
ターゲット層の数が多いエリアとは、総人口や世帯数が多いエリアのことです。
販促をするなら、ターゲット層が多く生活しているエリアに実施したいですよね。
ただし、販促の方法が折込チラシの配布等である場合は、そのままではあまり効率が良くない方法かもしれません。
ターゲット層が多く生活している地区は、全体の人口も多い地区であることもあります。
その場合、チラシ配布量が増加し折込費用も増加します。それにもかかわらず、配布した世帯のうちターゲット層の割合は少なく、ほとんどがターゲットでは無い人の手に渡ってしまいます。
ターゲット層は50〜60代女性。
ターゲット層の人口を地図上に表示してみました。
続いて総人口を地図上に表示してみました。
ターゲット層が多い地区は、総人口も多いことがわかります。
ターゲット層の比率が多いエリア
今回の本題であるターゲット層の比率について。
では、総人口のうちターゲット層の人口の割合はどうなっているでしょうか?
ターゲット層の比率が高い地区を地図を上に表示してみました。
総人口の傾向とは異なるターゲット層の比率が高い地区が抽出できました。
これらのエリアは、総人口はそこまで多くないかもしれませんが、ターゲットとなる50〜60代の女性が多く生活しています。
これらの地区に折込チラシを配布すると、同じ部数であっても、その他の地区に比べると配布先に多くのターゲット層が含まれることになります。
ターゲット層の比率が多い上位15地区をわかりやすく表示しました。また、地区名の下には、その地区の総世帯数を記載すると、チラシの部数計算にも便利です。
チラシを配布する地区を選択する際は、ターゲット層の比率が多い地区を抽出しその中でターゲット層の量が多い場所を選択すると、効率的に地区を選び出すことが可能になるため一般的な方法です。
チラシの配布枚数を削減する
ターゲット層の比率が高い地区を選択して配布することで、チラシを届けるターゲット層の数を変えずに総配布枚数を削減することができます。
どの程度削減できるのか、調べてみましょう。
例として今回はターゲット層をファミリー層を設定しました。国勢調査の結果より「18歳未満の家族がいる世帯」の比率を計算してみます。
まずは、比率を利用しないで配布した場合のシミュレーションです。
店舗から近い順番に22地区を選び、チラシを配布する地区として選定しました。
この場合、地区内のターゲット層は1049世帯、総世帯数は2882世帯です。
つまり、2882世帯に対してチラシを配布する必要があり、そのうち1049世帯がターゲットの「ファミリー層」である計算です。
続いて、比率を利用して、ターゲットの比率が高い地区を選び、チラシを配布する地区として選定しました。
選定したのは、比率が高い上位15地区です。
この場合、地区内のターゲット層は1057世帯、総世帯数は1699世帯です。
つまり、1699世帯に対してチラシを配布する必要があり、そのうち1057世帯がターゲットの「ファミリー層」である計算です。
先程の店舗から近い地区を選んだ場合に比べて、総世帯数は1183世帯減少しました。
つまり、配布される「ファミリー層」はほとんど変えずに、配布枚数を6割弱に削減することが可能になります。
まとめ
ターゲット層が明確になっており、「その層に向けてチラシを効率よく届けたい」と考えている場合は、地区の人口だけでなくターゲット層の比率を調べてみるのがよいです。
配布世帯数が同じで、含まれるターゲット層を多くすることができるため折込にかかる費用を最適化することができます。
GISを使用すると、そのような計算も可能になります。
使用したデータ
・国勢調査「年齢(5歳階級、4区分)別、男女別人口」
・OpenStreetMap