消滅可能性都市豊島区は消滅するんでしょうか?
「GISで地域特性は見えるか?」のコーナーではGISを使って地域特性を見てみるコーナーです。
小規模事業者様、個人商店様、週末起業家様の集客とはあまり関係ないですが、地域特性に関する興味深い内容を紹介していく予定です。
今回のテーマは、「消滅可能性都市・豊島区」です。
「消滅可能性都市」とは
少子化や人口流出に歯止めがかからず、存続できなくなるおそれがある自治体
引用:コトバンク
出生率の低下や、それによる若年層の減少、人口減少による職業機会の喪失、それによる住民の流出等の理由で人口減少に歯止めがかからず、このままの傾向が続くと将来自治体として存続ができなくなる可能位があると推定される都市の事です。
将来推計人口は、「国立社会保障・人口問題研究所」が、生残率や純移動率などの仮定値を設定して推計し、5年に一度公表しています。(⇒参照ページ)
その結果をもとに、有識者でつくる「日本創成会議人口減少問題検討分科会」という組織が、人口移動の状況を加味して独自に推計した将来人口を平成26年に発表しました。(⇒参照ページ)
その発表の中で、全国の自治体の約半数である896自治体が<将来的には消滅する可能性が高い。>と説明されています。
地方に生活している方は、大学や就職で友達が東京等の大都市に引っ越していきそのまま帰って来る気配がない状況がよくあるんではないでしょうか。
私も福岡から東京へ出てきた一人です。さらに豊島区巣鴨の賃貸マンションで生活しています。なお、福岡へのUターン計画実行中です。そして、私の話は置いておきましょう。
地方から人を惹きつけ日本経済を動かす原動力となっている一方、地方の人口減少をひき起こし消滅可能性都市を生み出す原因にもなっている東京23区。
この中で「豊島区」が東京23区唯一の消滅可能性都市として選出されています。
発表された当時は、マスコミが取り上げ「豊島区が消滅しますが、どうですかー?」等と街頭インタビューをしていたので、テレビ等で観てご記憶にある方もいらっしゃるかと思います。
1日の利用客数が250万人超の巨大ターミナル池袋駅を有する豊島区。おばあちゃんの原宿として有名な地蔵通り商店街がある巣鴨も豊島区です。
そんな賑やかで消滅とは程遠い都市と感じられる東京都豊島区がなぜ消滅可能性都市なるものに含まれているのでしょうか?
GISを使って、「豊島区が本当に消滅してしまうのか?」について見てみましょう。
「豊島区」は消滅するのか?
東京都の市区町村名です。赤くした自治体が今回の主役「豊島区」です。
2010年の総人口です。色が濃い程人が多く、豊島区には30万人近くの人が生活しています。
ここから30年後には消滅するんでしょうか。
2040年の総人口です。豊島区は依然存在していました。
しかも人口はほとんど変わらず30万人近くの人が生活しています。他の自治体も変化がわかりづらいですが、例えば豊島区の二つ下に位置する港区では色が変わっています。
消滅しないんでしょうか?
消滅の可能性はあったけどなんとか免れることが出来たんでしょうか?
実は、「消滅可能性都市」といわれている理由はこちらです。
2010年の若年(20~30代)女性の人口です。豊島区には約5万人の若年女性が生活しています。
2040年の若年女性の人口です。豊島区では大きく減少し半分以下の2万5千人弱となっています。
日本創成会議人口減少問題検討分科会では、将来の人口減少の要因として「若年女性(20~39歳の女性人口)」を設定しており、2040年の若年女性人口が2010年から半分以下になる自治体を消滅するおそれが高い自治体と説明しています。
2040年時点では現在とかわらない人口を抱える豊島区ですが、この推計どおりに人口が推移すると若年者の減少の末、消滅するのではないかととらえることができるのです。
2040年には、若年女性人口が半減してしまう豊島区。東京都本土部で半減してしまうのは、西多摩郡の3自治体(日の出町、檜原村、奥多摩町)、そして豊島区です。
※人口変化率は、2010年人口に対する2040年の人口の割合です。
ただし、公開されている日本創成会議人口減少問題検討分科会の資料をよく読むと、<日本は若年層を中心に地方から大都市への「地域間移動」が激しく、地方の人口減少の最大要因は若年層の流出にある。このままでは多くの地域が消滅するおそれが高い。>と説明されており、地方の人口減少の要因を推定する過程で、<人口の「再生産力」を表す簡明な指標として「若年女性(20~39歳の女性人口)」>を取り上げています。
推計結果では消滅可能性都市とされてしまった豊島区ですが、実際には東京圏の大都市として、地方から人を引き寄せる存在でありつづけるのではないでしょうか。
都心部への人口流入が進む将来。
GISを使うと、東京都心部が周辺自治体から人口を吸収し巨大化していく将来の地域特性が見えました。
使用したデータ
・全国市区町村別「20~39歳女性」の将来推計人口(日本創成会議・首都圏問題検討分科会)
・OpenStreetMap