アドレスマッチングとは、地図上の位置を示す情報を「住所」から「緯度経度など」に変換する方法です。
地図上の位置を示す方法は一つだけではありません。
日常生活では住所など人間に伝わりやすい情報、つまり言葉で位置を示します。
しかし、それ以外にも、緯度経度や座標などの符号で示す方法もあります。
例えば、東京の神保町という駅の住所は、「東京都千代田区神田神保町2-1」ですが、「北緯35度41分45秒362、東経139度45分27秒086」と表現することもできます。
この方法だと、使用する言語が異なったり、全く知らない地域のことであってもピンポイントで位置を示すことが可能になります。
手持ちの住所情報をアドレスマッチングで符号情報に変換して、地図上に表示すると位置を視覚的にわかりやすく把握することが可能になります。
アドレスマッチング
「言葉」から「符号」へ変換する方法をアドレスマッチングといいます。
顧客が多い地区や少ない地区を分析して販促戦略を立てたい場合、顧客住所を地図上に示して視覚化すると、顧客の分布状況が容易に把握できます。
お店を営んでいる方であれば、会員登録などで顧客の住所を収集されている場合も多いと思います。
この情報を元に顧客の分布を分析したい場合、住所を元に地図上に一つづつ印をつけていかなければならず、結構な時間がかかります。
しかし、緯度経度などの符号情報があればGISを使用して、簡単に地図上で位置を示すことが可能になります。
お客様のお住いの場所を、緯度経度で記録している方はおそらくいないと思います。なので、住所情報を緯度経度に変換する必要があります。
アドレスマッチングのサービスとしては、以下のようなものがあります。
CSV形式アドレスマッチングサービス(東京大学空間情報科学研究センター)
このようなアドレスマッチングサービスを利用して、お店の会員カードの作成などで登録した顧客の住所情報を緯度経度に変換できます。
こうすることで、GISで地図上に表示して顧客の分布状態を把握し、その分布状況を踏まえて集客施策の決定に活用することが可能になります。
中食を提供するお店を例にして既存顧客情報とGISを活用して集客施策を行うアイデアを紹介いたします。
中食店舗の集客施策
中食。
お店で購入して家庭内で食べるためできたてのお惣菜を提供する形態の飲食店、もしくはそのようなお店で購入した食事を各家庭で食べる食事の形態。
中食の市場規模は増加し続けており、近年外食の市場規模に匹敵するほどになっています。
駅前では昔からあるお弁当屋に加え、今までは店舗で飲食する食事を提供するのみであったチェーン店が持ち帰りメニューを提供したり、コンビニエンスストアも店内調理の食事を販売するなど目にする機会が増加しています。
ビジネス街などでは、おにぎり屋やワンコイン弁当屋などお店毎に趣向を凝らしてお客さんにアピールしています。
既存顧客の分布状況の把握
手作りの家庭の味、そして有機野菜を使用した健康な食事を売りにしたお弁当屋さん、「A家」。
会員のお客さんにはポイントカードを作成し、たくさん貯まると割引するサービスを提供しています。
会員になる際には年齢や住所も登録してもらっていましたが、あまり有効活用していません。
既存のお客さんは定期的に来店して頂いていますが、最近は新規顧客が減少していました。
そこで、GISを使用してこの情報を活用し、新規顧客開拓のための広告を行うこととします。
現在手元にある既存顧客の情報は、以下のようなデータです。
この情報をアドレスマッチングサービスで緯度経度の情報に変換し、GISを使用して地図上に表示しキャンペーンに役立てる事にします。
会員が多い地区へのアプローチ
地図上に表示すると、お役さんが多い地区と少ない地区の把握が容易になります。
その結果を元に、すでにたくさんのお客さんに利用してもらっている地区を抽出しました。
これらの地区では、お店のことを知ってもらう広告よりも、知人などにお店のことを宣伝してもらうよう働きかけようと考え、お友達紹介キャンペーンのチラシを配布することとしました。
潜在顧客は多いが会員が少ない地区へのアプローチ
このお店のターゲット層は一人暮らしの会社員と主婦層で、利用するお客さんは多い順に「30歳前後の女性」、「20〜30代前半の男性」、「50歳前後の女性」となっています。
今回は、最も多い「30歳前後の女性」の新規顧客獲得のための広告を配布することとして、これらの層が多い地区を把握するため、GISを使って「30歳前後の女性」の人口を地図上に表示し、さらに先程の既存顧客の居住地をマッピングしてみます。
その結果、ターゲット層である「30歳前後の女性」の人口が多い地区でありながら、会員が少ない地区の存在が明らかになります。
このような地区に対しては、新規入会キャンペーンを実施し、お店の存在を認知してもらえるような働きかけを行いました。
このように、アドレスマッチングサービスとGISを使用すると、今までに蓄積してきた情報を活用して、これまで以上に効率的な集客施策を実施することができます。
使用したデータ
- 国勢調査「年齢(5歳階級、4区分)別、男女別人口」
- OpenStreetMap